原因不明の症状

冷え性、慢性的な下痢、両手足の痺れ、視力低下、首や肩の痛み。これが日常的に自分に起こる症状だ。

2000年秋現在、顎関節症の治療を続けているが全快はしていない。今も調子が悪いとこれらの症状がでてくる。しかし、ふと思い返してみると、今よりももっとひどい状態が何年間か続いていたのだ。

去年の11月に右手の手術をした。もう1年たってしまった。手術の跡はほとんど目立たなくなった。1年前のちょうど今頃、某市立病院で尺骨神経の手術を受けた。「肘部管症候群」いわゆる尺骨神経麻痺の一種で、プロ野球のピッチャーなど腕を酷使する仕事をしている人がなりやすいものだ。

腕に信号を送っている神経はいくつかあって、正中神経、橈骨神経、そして尺骨神経の三つが特に重要な働きをしている。腕を動かしている神経叢は脊椎から出たあと、鎖骨の下を潜って枝分かれして、それぞれ指先へと至る。そのうちのどれか一つでも障害を起こすと、腕は自由に動かなくなる。

正中神経は腕のほぼ真ん中、橈骨神経は主に親指側。尺骨神経は小指側と手の中の小さな筋肉に信号を送っている。各神経の動かしている部分を◯◯神経支配域という。自分の場合、この中の尺骨神経支配域が痩せ、慢性的に痺れているという状態が3年前から続いていた。

地元の整形外科を含め、十以上の整形外科を転々とした。いわゆるドクターショッピングというやつだ。97年の5月から始まって99年の11月に手術をするまで、暇をみては病院通いを続けた。

ここもだめ、あそこもだめ・・・。都内にある名の通った大学病院はほとんど行った。結果はどこも異状なし。だが、各先生によって診断は微妙に違っていた。「レントゲンを見る限り手の平を思い切り付いた時の状態に似ていなくもない」という方もいれば「尺骨の手首付け根の角度が変ですね。正常な人だと15°くらいですがあなたは30°くらいある」等々。しかし、どこも最終的には異状なしで様子を見ましょうという診断結果だった。

自分でも医学書などを買い込んでいろいろ調べていくうちに、症状の出ている部分はいわゆる尺骨神経支配域といわれている部分だと分ってきた。だから、その痛みを取り除くためには手術なりなんらかの外科的な処置をしなければならないのかなと思うようになっていた。

そして、結局去年の11月に手術をしていただいた。オペをしていただいた先生はベテランの方で、手術の跡も小さく、術後の経過も良好だった。痛みや痺れが完全にとれたかにみえた。だが、間もなくして今度は左腕や腰にも痛みが出てきた。ひどい時は起き上がれない。普通に立つ事ができない。なぜか左側に傾いてしまう。だるい。何もする気が起きない。歩くのも辛くてましてや全力で走るなんてことはもう一生できないかもしれない・・・。

原因ははっきりしていた。いや、はっきりしているつもりでいた。この思い込みが全ての間違いを引き起こしていた原因とも言える。