顎関節症の治療費

ほぼ全ての歯を削られ、悪くなかった右の噛み合わせまでおかしくなってしまった。その後、体調があっという間に悪くなっていった。

ひどい時はまっすぐ歩く事ができない。まともに一点を見ることができず、ずっと酔っているような感覚が続く。外出することも少なくなり、生活に昼と夜の区別がなくなっていった。

ほとんど寝たきりの老人のような生活をおくっていた。いや、老人でも元気な方は沢山いる。とても20代とは思えないような体力になってしまった。それでも傍から見れば痩せたね、顔色悪いね、程度にしか見えないらしい。腕の痺れと同様、本人が痛がっている以外は健常者扱いされてしまうのだ。

辛いというのを通り越して思考が停止していた。時間の感覚がない。起きて柔らかいものを少し食べて、また寝る。それだけの生活になってしまった。

これは放っておくと悪化していくだけだ・・・。なんとか顎関節症治療をしてくれる歯科医院を探さなければならない。そこでまた書籍で歯医者を探すことにした。

パソコンは持っていたが、このころはまだネットにつないでいなかった。情報収集の手段は本しかなかった。

また新たに顎関節治療をしているという歯科医の書いた本を見つけ、さっそく行ってみることにした。今度の歯科医院は都心のど真ん中にあり、立地条件のいいビルの中にあった。

まず全身の状態や姿勢をチェックされたあと、どんな治療を行っているのか説明を受けた。そこの先生はちょっと年のいった方で、しきりに自分の説の正当性を唱えていた。

顎関節症は全身に影響を及ぼす怖い病気だ。顎関節症患者は頚椎の位置がずれてしまう。だからレントゲンを撮るとみんな首が前に伸びている。このずれてしまった顎の重心を元に戻さなければならない。うちではメタルプレートという噛み合わせを安定させる器具を患者さんに使用してもらっている。等々。

そして、その先生自身も日常的にそのメタルプレートというやつを付けているということだった。一見した感じは入れ歯のようだった。これを付けなきゃならないのか・・・。

しかし、話を進めても一向に具体的な治療費が出てこない。回りくどい。理論や治療法は分ったから、じゃあいくら位かかるんですか。患者としてはそれを知りたいのだ。

驚いたことに、そのプレートを制作するのだけで200万から300万かかるという。300万・・・国産車のけっこういいのが買える値段だ。もちろんそんなお金は無い。実際の治療に入るまでの検査だけでも、20万近くかかるということだった。

考えさせてもらいます・・・。相談料1万5千円(税別)を払い、釈然としない気持ちのまま家に帰った。

 



私の場合メニューに戻る